25年秋に配信が開始されたWindows11の大型アップデート「25H2」(通称、KB5068861関連アップデート)は、多くの新機能、特にAI関連機能の強化を含む一方で、リリース直後から現在に至るまで、国内外のユーザーから数多くの批判や問題点の指摘が相次いでいます。安定性や使いやすさを求めるユーザーの声と、AI機能の統合を急ぐMicrosoftの意図との間には、少なからぬ乖離が生じているようです。本記事では、各種調査やIT系メディア、公式フォーラムなどの情報を基に、Windows11最新updateに寄せられる主な批判・問題点、そしてその背景にあるMicrosoftの意図とユーザーの求めるもののギャップについて、幅広く調査・分析します。
Windows11 25H2 updateで顕在化した主な批判と問題点
今回の25H2アップデート(KB5068861)に関しては、特定の機能に対する不満から、OSの根幹に関わる安定性や信頼性への疑問まで、多岐にわたる問題が報告されています。
25H2アップデート 問題点別・報告件数(推定)
各種フォーラムやIT系ブログ、アンケート調査などから集計された主な問題点・批判項目別の推定報告件数(出典:error-daizenn.hatenablog、ino-incほか)は以下の通りです。
| 問題・批判項目 | 報告数 (推定件数) | 全体比率 / 備考 |
| Copilot・AI偏重機能 | 約2,300件 | SNS/フォーラム集中 |
| UI刷新への不満(使いづらい) | 約1,800件 | 否定的コメント約15% |
| 初期バグ・不安定 | 約1,370件 | 公式KB+個人ブログ |
| Microsoftアカウント強制 | 約1,150件 | 企業系/個人・公式調査比12.9% |
| 広告・不要アプリ増加 | 約950件 | クチコミ・SNS |
| システム要件の厳格化 | 約880件 | 公式調査呼応・約30% |
| 有線LAN/ネット障害 | 約730件 | テック掲示板/SNS |
| クリエイティブ系の不具合 | 約600件 | OBS配信者中心 |
| UEFI/回復の失敗 | 約450件 | 技術系ブログ+Twitter |
| 緊急パッチで別不具合誘発 | 約320件 | セキュリティ系ブログなど |
※この集計はフォーラム・公式KB・アンケート・各種IT系ブログ等の報告数や割合から算出された推定値です。カテゴリ別の傾向と規模感の比較として参照されます(出典:note+4)。
Copilot・AI機能への偏重と安定性への懸念
上記のリストでも突出していますが、最も多くのユーザーから批判を集めているのが、「Copilot・AI偏重機能」に関する問題です。推定報告件数は約2,300件に上り、SNSやフォーラムで集中的に議論されています。多くのユーザーが指摘するのは、OSの基本的な安定性や既存のバグ修正が後回しにされ、CopilotをはじめとするAI新機能の追加が優先されているのではないかという点です(出典:error-daizenn.hatenablog 2025年8月26日、https://www.google.com/search?q=ai.pc-sdn.com)。安定した動作環境を求める声に対し、必ずしも望まれていないAI機能が前面に出ることへの反発が強まっています。また、「初期バグ・不安定」(約1,370件)に関する報告も依然として高く、緊急パッチが別の不具合を誘発するケース(約320件)も報告されており、安定性への不信感がAI機能への批判と連動している側面も伺えます。
UI刷新とMicrosoftアカウント強制への根強い不満
Windows11のリリース当初から続く「UI刷新への不満」も、依然として大きな批判点です。推定報告件数は約1,800件に達しています。スタートメニューやタスクバーの中央配置、右クリックメニューの簡素化など、従来の操作感から大きく変更された点について、「使いにくい」「必要な情報が探しづらい」といった否定的な意見が継続しています(出典:Reddit関連スレッド)。また、「強制的なMicrosoftアカウントログイン・同期」についても約1,150件の報告があり(企業系/個人・公式調査比12.9%)、ローカルアカウントの選択肢が縮小され、プライバシーや設定同期の強制性が高まったことへの批判が根強く残っています(出典:pc-sdn)。
広告・ブロートウェア増加とシステム要件厳格化の影響
OSの利便性とは直接関係のない要素への不満も増加しています。「広告・不要アプリ増加」に関する報告は約950件あり、OS標準でインストールされる不要なアプリ(ブロートウェア)や、OS上での広告表示が増加している点に、業務端末の管理者や個人利用者から強い不満が出ています(出典:doslabo)。さらに、「システム要件の厳格化」も約880件の問題点として挙げられています。TPM2.0や比較的新しいCPUを必須とする要件により、まだ十分に利用可能な旧世代のPCがアップデート対象外となり、移行不可(Hammock調査によれば移行不可理由の約30%)となることや、追加のハードウェア投資が必要になることへの批判です(出典:doslabo、hammock.jp)。
ネットワークやクリエイティブ系の深刻な不具合報告
特定の利用環境下で発生する深刻な不具合も報告されています。「有線LAN/ネット障害」に関する報告は約730件あり、25H2アップデート以降、有線LANが認識されなくなったり、通信速度が著しく低下したりする問題が指摘されています(出典:bbs.kakaku)。また、「クリエイティブ系の不具合」も約600件報告されています。特に動画配信ソフトOBS(Open Broadcaster Software)などでNDIストリーミングを使用した際に、映像や音声のズレ、パフォーマンス低下が発生するといった問題が、動画配信者やクリエイター層から報告されています(出典:error-daizenn.hatenablog)。その他、UEFI設定画面へのアクセスや回復操作が困難になる不具合(約450件)なども、自作PCユーザーや企業のIT担当者を困惑させています(出典:zack-it)。
Microsoftの意図とユーザーの求めるもののギャップ:なぜ批判は続くのか
これら多数の批判や問題点は、Windows11のupdate戦略における「Microsoftの意図」と、多くの「ユーザーの求めるもの」との間に大きなギャップが存在することを示唆しています。Microsoftは、OSを単なるプラットフォームから「Agentic OS」へと進化させ、AIをOS体験の中核に据えようとしています(出典:https://www.google.com/search?q=ai.pc-sdn.com)。しかし、多くのユーザー、特に業務利用や安定性を重視する層が求めているのは、必ずしも最先端のAI機能ではなく、信頼性の高い、シンプルで使いやすい動作環境です。
企業や専門家の調査に見る実態
個人の声だけでなく、企業IT部門や専門サイトの調査からも、アップデートに対する厳しい評価が明らかになっています。
- **企業IT部門の62.2%**が「アップデートは不便・問題あり」と回答([n=111社]、出典:hammock.jp)
- システム要件による**「移行不可」理由は約30%**、アップデート不安(不具合多発)は約12.9%(出典:hammock.jp)
- 2025年9月~10月の最新アップデート関連不具合報告数は、主要IT情報サイトで合計約7,600件(重複除外後見積、出典:ino-inc+3)
企業IT部門の6割超が「問題あり」と回答(Hammock調査)
先に示した通り、株式会社ハンモック(Hammock.jp)の調査(出典:hammock.jp/assetview/media/win10_11_research.html)では、企業IT部門の6割以上がアップデートを問題視しています。特に「システム要件」による移行不可が約30%、「アップデート不安(不具合多発)」が約12.9%を占めている点は注目に値します。これは、企業利用において、Microsoftが推進する積極的なアップデートと新機能(AI含む)の導入が、むしろ運用上のリスクやコスト増と捉えられている実態を反映しています。
安定性重視のユーザー意識と「余計な機能」への否定的意見
一連の批判の根底にあるのは、多くのユーザーがOSに対して「安定性」と「シンプルさ」を何よりも重視しているという点です。IT系ニュースサイト「マイナビニュース」(2025年11月17日付)の報道(出典:news.mynavi.jp)でも指摘されているように、「余計な機能追加」や「強制的なクラウド連携」(Microsoftアカウント強制など)に対する否定的な意見が急増しています。ユーザーは、OSが不安定になったり、操作性が低下したり(出典:zack-it)するリスクを冒してまで、AI機能の強化やUIの頻繁な変更を望んでいないケースが多いのです。既存のバグが未修正のまま放置されている(出典:zack-it)と感じられる一方で、次々と新機能が追加されることへの不満が、Microsoftの意図する「イノベーション」への反発となっています。
公式・IT情報サイトでの不具合報告数の規模感
アップデートに伴う不具合の多さも、ユーザーの警戒感を高める大きな要因です。前述の通り、株式会社いの(ino-inc.com)の調査(出典:ino-inc.com/data_check/pc/windows11-update-trouble-2025.php)では、2025年9月から10月のわずか2ヶ月間で、主要IT情報サイトにおける不具合報告数が推定合計約7,600件(重複除外後)に達しています。Microsoft自身も、公式のリリースヘルス情報(出典:learn.microsoft.com/ja-jp/windows/release-health/status-windows-11-25h2)で既知の問題を公開していますが、公式フォーラムやSNSでは「アップデートは慎重に」「自動更新は停止した方が良い」といった警戒を呼びかける声が広がっている(出典:error-daizenn.hatenablog)のが現状です。
まとめ:Windows11 update、Microsoftの意図とユーザーの求めるもの、批判・問題点の今後
Windows11 updateの批判・問題点とMicrosoftの意図についての要約
今回はWindows11最新update(25H2、KB5068861)の批判・問題点、Microsoftの意図とユーザーの求めるもののギャップについてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
・Windows 11 25H2アップデートに対し多数の批判・問題点が報告されている
・「Copilot・AI偏重機能」が推定約2,300件で最多の批判項目
・「UI刷新への不満」(約1,800件)や「初期バグ・不安定」(約1,370件)も深刻
・「Microsoftアカウント強制」(約1,150件)への反発も根強い
・企業IT部門の62.2%がアップデートを「不便・問題あり」と回答(Hammock調査)
・2025年9月~10月の不具合報告は主要サイトで推定約7,600件(ino-inc+3調査)
・システム要件による「移行不可」理由は約30%(Hammock調査)
・「広告・不要アプリ増加」や「有線LAN障害」なども問題視されている
・ユーザーは「安定性」と「シンプルさ」をOSに強く求めている
・「余計な機能追加」や「強制的なクラウド連携」への否定的意見が急増
・既存バグ未修正のまま新機能が追加されるバランスの悪さが指摘されている
・MicrosoftのAI中心のOS戦略とユーザーの求める安定性との間に乖離が生じている
・アップデートへの警戒感がSNSやフォーラムで広がっている
・企業も個人もアップデートのリスクとメリットを慎重に判断する必要がある
今回の調査から、Windows11 25H2アップデートが、Microsoftの推進するAI戦略と、安定性や従来の操作性を重視する多くのユーザーのニーズとの間で、大きな摩擦を生んでいる実態が浮かび上がりました。Microsoftには、新機能の追求だけでなく、OSとしての基本的な品質と信頼性の確保、そして多様なユーザーの声に耳を傾けたフィードバックの反映が、今後より一層求められることになるでしょう。ユーザーとしては、引き続き公式情報や信頼できるIT情報を注視し、自身の利用環境に合わせた慎重なアップデート判断が必要となりそうです。
